メーカーと商社の営業の違いってわかりにくいな~。
明確な違いはありますが、確かに2つはぼんやりとしています。
この記事では某大手部品メーカーに在籍し営業経験9年の筆者が、メーカーと商社の営業の違いを解説します。
わたしの会社は商社との取引が多く、彼らの働く姿を外から目にする機会が多いです。
メーカーの内情もわかっています。
就活・転職活動中の方にはリアルな体験を知れる参考になる記事となっています。
メーカーと商社って何が違う?
メーカーと商社には工場の有無・ビジネスモデルの違いがあります。
その2つの違いとメーカーと商社の分類についても少し解説します。
工場の有無が大きな違い
メーカー・・・製造工場を持ちモノを生産する
商社 ・・・工場を持たずモノを仕入れ・販売する
ただしファブレスと言われる工場を持たない方式の任天堂やApple社の様なメーカーもあります。
製造を外部の企業に委託している企業です。
ファブレスの根底には商品の研究開発に経営資源を集中させたい考えがあります。
参考記事:ファブレス経営とは? 企業が続々とファブレス化する理由、メリットと弱点(カオナビ)
まずはモノの流れとメーカーと商社の立つポジションを見てみて欲しい。
メーカーが製造したモノが商社経由でユーザーへ届く流れ
メーカーは自社の工場で製造したモノをユーザーや商社へ販売します。
商社の仕事は卸売り業とも言われ、複数メーカーから仕入れ、メーカーなどに販売します。
ビジネスモデルの違い
メーカーと商社は似ているようで少し異なりビジネスモデルも次のように違ってきます。
メーカーのビジネスモデル
自社工場を持ち製品を開発、製造・販売します。
原材料・部品の仕入れ、追加工等実施し組立て出荷します。
販売先はメーカーやユーザー、商社です。商社へ製品を販売することもあります。
製品に関する技術ノウハウが企業価値の中核です。
商社のビジネスモデル
商社の業務はトレーディング特に総合商社は事業投資も行う。
トレーディングとは製品の売り買いの仲介業務。
メーカーから仕入れ、販売します。販売先はメーカーや商社など。事業投資とは企業の買収、出資などですが、総合商社の様な資金力を活かせる企業が行います。
販売ネットワークと情報が企業価値の中核です。
メーカーには部品と完成品メーカーがある
部品メーカー・・・完成品を構成する部品のこと(ねじ、ボタン、ICチップ)
完成品メーカー・・・生産過程における製品の最終的な状態で、消費者へ販売可能(PC)
部品メーカー
・NSK
・日本電産
・京セラ
完成品メーカー
・TOYOTA
・Apple
・SONY
商社には専門商社と総合商社がある
専門商社・・・特定ジャンルの商品のモノの売り上げが過半数の商社。業界に特化した企業との取引パイプが太い。
総合商社・・・モノの売買×事業投資による売り上げの商社。扱い商材は「カップラーメンからミサイルまで」
専門商社
・三菱食品
・日鉄物産
・阪和興業
参考:専門商社業界 売上高ランキング(2019 – 2020年)|業界動向サーチ
総合商社
・三菱商事
・伊藤忠商事
・三井物産
参考:総合商社業界 売上高ランキング(2019 – 2020年)|業界動向サーチ
メーカーと商社の違いはお分かりいただけたでしょうか?
メーカーと商社の営業の仕事内容の違い
メーカー営業と商社営業の仕事内容は同じ営業でも違います。
そして、お客さん側に立った時にも両社の存在意義が異なります。
違いを見てみましょう。
メーカー営業の仕事内容
メーカーの営業の仕事内容を並べてみました。のちほど触れますが商社とは仕事内容が似ています。
・見積作成
・納期管理
・クレーム対応
・新商品の案内
・客先技術者との打合せ、商談
メーカ―営業のメリット・デメリット
- ホワイトで安定した企業が多い
- 自社製品を深く勉強すればいい
- 自社製品に愛着プライドを持てる
- 製品品質で売れる場合もある
- 日常業務が単調になりがち
- 知識が偏る
- 責任が大きくあとが無い
- 営業の付加価値無く売れる事も
安定した流れ品(量産品)売上げがある場合、残業が少なく営業も緩い会社が多いが、日常業務が単調になる傾向が強いと言えます。
またオンリーワンの自社商品なので愛着・プライドを持つこともできるのが多種多様な商品群を扱う商社との違い。
ぶっちゃけ、メーカーの働き方は緩く、退社が割と早い。
筆者が18時過ぎに電話をかけたら「もうPC閉じちゃったよ~。」とかザラです。一方、専門商社のお客さんからは夜22時にメールがくることもある。
メーカーにおける営業の存在価値
メーカー営業は深い専門性を持ってお客さんの悩み解決の役に立つスペシャリスト。
メーカー営業は技術的な問題が起きた時の最後の砦とも言えます。
カタログで調べたんだけどよくわからなくて…
製品のこの部分教えてもらえないかな~?
例えば、値決めも同様のことが言えます。商社がユーザーとの間に入ればまだ価格の調整しろがあります。
メーカーは製品の価格設定をミスると、後世までその決定価格が引き継がれることもあります。
わたしの担当客先でも「お宅の会社の前任者はこの価格で受けてくれたけど?」と言われることが少なくない。
商社営業の仕事内容
商社営業の仕事内容です。メーカーと仕事内容が似ていますね。
会社の担当の割り振りにもよりますが商社のほうが個人の担当する客先が多く手数が必要になります。
・見積作成
・納期管理
・クレーム対応
・メーカー新商品をまとめて案内
・商談
商社営業のメリット・デメリット
- 取り扱い商材が幅広く飽きない
- 幅広い知識を習得出来る
- 人付合い多く色々な人と関われる
- 営業の付加価値が大きい
- 総合商社はメーカーより年収高い
- 製品群が多く勉強が必要
- 人付合いが多く苦手な人はツラい
- 仕事量が多く長時間労働になる
人付き合いが多く会食の機会が多いので、そういった場が苦手な人は精神面でも体力面でのキツさもあります。
あとは正直言って、製品のジャンルの幅が振り切れ過ぎてて勉強大変そうですね。
筆者がとある商社営業とお客さんへ同行した時。
わたしの仕事の話が終わると、「すみません。全く関係ない話になりますが・・・。」と言って、わたしの会社で扱う製品とは全く違う製品のリーフレットを出して製品PRの話を始める。
例えるなら電子レンジから掃除機の話に変わるようなレベル。
商社における営業の存在価値
商社営業はバリュエーションに富んだ提案で役に立てるかがポイント。
・A社の製品が急遽欲しい?それならうちの倉庫から出します!
・B社の品質がNG?なるほど。うちならC社で似た製品を提案出来ますがどうですか?
様々な製品を使い豊富な提案力で能力を発揮していきたいなら商社が向いています。
他にもそれぞれの営業スタイルに向き・不向きがありますので見ていきましょう。
メーカーと商社それぞれの営業の向き・不向き
最後になりますが、メーカーと商社それぞれの営業の向いている人を見ていきましょう。
メーカー営業に向いている人
こういう性格のあなたに向いている!
- 深く狭い人間関係を好むタイプ
- 1つのモノを愛着を持ち続けたい
- 物事に深く狭く取り組みたい
- 技術知識を力として発揮したい
商社営業に向いている人
こういう性格のあなたに向いている!
- 多種多様な人間関係を好む
- 色々なモノを扱いたい
- 幅広く多様な分野に取組みたい
- 人間関係で能力を発揮したい
ただし、向き不向きは実際に働いてみないと分らない。
わたしはキャリアコンサルタントへ相談に乗ってもらう事をおススメします。
実際に転職活動をしていたときに使っていたのは「DODA」「リクルートエージェント」でした。
最初は複数のエージェントに登録し進めるのがおススメ。最終的には私もDODA一本に絞って進めました。
まとめ|メーカー営業・商社営業の違いを比較
転職・就職活動中の皆さんは参考になりましたでしょうか?
この記事ではまずメーカーと商社の違いを見てみました。
それからメーカー営業と商社営業の仕事内容の違いと、最後にメーカー商社それぞれの営業に向いている人も見てみました。
それぞれ様々な特徴を持っているけど、似ているメーカーと商社です。すこしでも参考になれば幸いです。
記事は以上になります。
コメント